リアルにするなら「ダン目隠し」
ダンボール工作を極めていくと、どうしてもリアルさを追求したくなるんですよね~。
でも、一生懸命細かく作っているのに、なぜかダンボール感が消えないんですよ…というご質問をたまに頂きます。そんな時は必殺技、「ダン目隠し」をすると、見違えるほどダンボール感が消えます。
拙著「7日間でできる世界一美しいダンボールクラフト」より豚の貯金箱
画像の豚の貯金箱は、100%ダンボールで作っています。茶色い素材で作られているため見れば分かると思いますが、「ダンボール感」はなくなっていますよね?ダンボールのダン目を隠すことにより、ダンボール感を消しているんです。
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リアルさ=細かさ ではない
「リアルな作品」というと、細かいんだろうな~と思われがちです。
確かに間違いではないんですが、ダンボール作品をリアルにするうえで大切なのは、いかにダンボール感を消すかという事なんです。
「わ~ダンボールで作ったんだ~!」
と言われるより、
「え?これダンボールなの??」
と言わせたら勝ちです。
ダンボール感を消し、ダンボール作品だと気づかせない事が、リアルに見える近道なんです。
ダンボールで作った鳥居
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人はどこで「ダンボール感」を感じ取るのか
ずばり、「ダン目」です。
ダン目とは、ダンボールを切断した面の事で、波々になっている部分です。
ダン目が一番ダンボール感を感じる部分で、ここをうまく隠すとダンボール感はかなり消えます。ダン目が目立つと、いくら細かく装飾を凝ってもダンボール感で打ち消されてしまい、チープさが勝ってしまいます。
製作途中の五重塔。ダン目が前面に出ていてダンボール感が凄いですね。
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ダン目を隠す
ダン目の隠し方ですが、一番単純なのはダン目にライナー(ダンボールの表面を剥がした紙)を貼る方法です。
見えるなら、隠せば良いんです。
ダンボールの厚みに合わせてライナーを短冊状に切り、貼り付けるだけです。
3mmダンボールを3枚重ねた板にライナーを貼ることで、ダンボール感を消している。
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もっと簡単にできない?
ダン目を隠す事でリアルになるのはお分かり頂けたと思いますが、この方法の欠点は手間がかかるところです。すべての板の外周にライナーを貼り付ける手間と言ったら、もう本当に大変なんですよ。
面倒なダン目隠しに替わる方法として、1.5mmダンボールを使用するという方法があります。通常出回っているダンボールの厚みは3mm~5mmのものが多く、1.5mmというのは一般的なダンボールより薄いんです。
厚みが薄いということは、それだけ目立つダン目が相対的に目立たなくなるということなので、ダンボール感は結構消えます。
キャタピラの上あたりに1.5mmダンボールを使っていますが、ダンボール感は抑えられています
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普通の材料で簡単にできない?
1.5mm厚のダンボールは小さい箱やカラー印刷された箱に使われることが多いです。注意して集めないと、意外と手元にない厚みなのが少しデメリットですね。
普通のダンボールと言われている3mm~5mm厚のダンボールでもリアルさを追求したい場合は、作品を大きく作りましょう。目立たなくするのが目的なので、作品を大きくしてしまえば、相対的にダン目は目立たなくなります。簡単ですね!?
平等院鳳凰堂等の作品に比べて縮尺が3倍以上の家々。ダン目隠しは一切無し。
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ダン目は悪なのか?
そんな事はありません。
ダン目を消しまくれば、確かに作品はリアルになります。しかし……それ、ダンボールで作る意味あるの?という疑問が生まれ始めます。そして、「画用紙でも良くない?」となります。
隠すダン目は、あくまでも「邪魔なダン目」です。生かすダン目をよく捉えて、ダンボール作品がダンボール作品である事はしっかりと主張させましょう。
ダンボールの切断面のダン目は隠し、屋根瓦としてダン目を前面にもってくる。
ファンの網目としてダン目を活用し、それ以外の邪魔なダン目のみ隠す。
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まとめ
1.細かさよりダン目隠し
2.生かすダン目を捉えてメリハリをつける
これを意識するだけで、ダンボール作品はリアルかつダンボールにしか表現できない作品になります。
ダンボール作品のクオリティに行き詰っている方の一助になれましたら幸いです。
うぷあざ棟梁