ダンボール「戦車」製作記録
九七式中戦車の製作記録を綴っていこうと思います。作品が完成してから2年以上経ってからの記録になりますが、当時の思いなどを入れつつ紹介していきたいと思います。
発表日 :2014年3月29日
製作期間 :2ヶ月
材料費 :1500円
素材 :ダンボール、接着剤、タミヤギヤボックス、タミヤリモコン
高さ :約10cm
幅 :約11cm
長さ :約30cm
諸元
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コンセプト
ダンボール戦車を作るにあたり、世間の動向と言いますか、他の先輩クリエイターさん達はどのような作品を発表されていらっしゃるのか、簡単に調べるところから始めました。似たような作品を作ってただの二番煎じになってしまっては、私が改めて動画を上げる意味がありません。どうせ作るのなら、作品には何らかの特色をもって世に送り出したいと思うのが、ハンドメイドで作る醍醐味だと考えています。
ダンボールで戦車を作って発表されている方は、私より前にも何名かいらっしゃいます。デフォルメされていたり、縮尺を小さくまたは実物大で作っていたりと、様々なダンボール戦車が世に出ています。
これはもう・・・動かすしかないよね!?
というわけで、ダンボールなのに「動く」戦車を作るというのがコンセプトに決定致しました。
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実験
さて、ダンボールを使用した動く戦車の製作ですが、履帯(キャタピラ)をダンボールの波表現を使って表現するというのは早々に決まっていました。問題はそれをどう駆動させるかといったところで、うまく動くかどうか、やってみないと知りようがありませんでした。
経験だけでは進まないので、まずは作品製作の前に実験をすることにしました。最初は田宮の楽しい工作シリーズのプーリーを使って車輪を製作します。片面ダンボールで試作した履帯を用意し、プーリーの車輪に巻き付けます。一発目からうまく回るはずもないので、改良を重ねていきます。ダンボールも様々な種類があり、形以外にも硬さや耐久性などの違いもあります。硬くて曲がらない物は履帯に適さず、柔らかすぎるとパリパリと剥がれ落ちます。手持ちのダンボールで何個も試作し、ようやく適したダンボールを見つけます。
素材が決定し、動作がひっかかりなく、より滑らかになるように微調整を施し、作品に組み込めるめどを立てます。
車輪が載る内側
同外側
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製作開始
1/20で寸法を決め、図面を起こします。車輪を回転させる機構を搭載する関係で、デフォルメしているところが出てきてしまいましたが、違和感のない範囲で収まったかと思います。
まずは車輪関係の部品を切り出していきます。
転輪・起動輪・誘導輪にする円形の部品
車輪の懸架装置周り
今回は回転させる機構としてモーターを選択しました。一番気軽にできるリモコン式(有線)で操作する昔からある方法です。タミヤさんの楽しい工作シリーズから、ツインモーターギヤボックスと2チャンネルリモコンボックスを選び、ダンボール戦車に組み込みます。
タミヤ 2チャンネルリモコンボックス(上) と ツインモーターギヤボックス
ダンボールにギヤボックスを搭載
このギヤボックス、搭載場所に苦労しました。どうしても車体からはみ出すので、ダンボール板で塞げませんでした。苦肉の策ですが、この部分だけダンボールの皮の部分しか貼られていません。ただの目隠しです。さらに装甲が薄くなりました。(実物通りですね!)
ギヤボックスがはみ出しました
車体前側にギヤボックスを搭載しているため、後側が浮きます。そこで針金の束をコイルのようにまるめ、車体後方に設置して重量バランスを合わせています。余談ですが、もし今後無線で操作できる戦車を作るとしたら、このスペースに電池や無線ユニットを置いたら丁度良いくらいですね。
錘を入れました。
機構的な部分は以上で、細かい装飾に入っていきます。
外側をダンボールで覆い、メカ機構を全て隠します
ダンボールをそのまま曲げると鋭角に折れてしまうため、砲塔の丸みを再現することはできません。写真のように、ダンボール表面の紙を使って丸みを表現します。(ああ、さらに装甲が薄く…)
砲塔
各種扉やライト等々細かい部品を付けていきます
種類の多い細かい部品製作はテンションが上がります。
完成が見えてきました
仕上げです。最後にφ1.5mmの穴をあけるポンチを使って円形の部品を量産します。それを車体に貼りつけていき、リベット留めの表現とします。
ただの丸いダンボール片
継ぎ目に貼り付けリベット留めを表現
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完成
九七式中戦車(旧砲塔)
後ろから
前から
履帯付近ドアップ
砲塔前向き
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撮影&動画作成について
毎度毎度、作品よりもこだわるんじゃないかと思う完成品の撮影と動画作成です。この時はまだビデオカメラを持っていなくて、一眼レフの動画機能を使っての撮影となりました。映像は及第点なのですが音が貧弱なので、PCMレコーダーを別途用意し、映像と音声を合成しています。鮮明な音とステレオ感を味わって頂ければ幸いです。
戦車がテーマということで、アニメ「ガールズ&パンツァー」のパロディを少々仕込んでおります。ガルパンはいいぞ。
ちなみに、動画の構成を考えて絵コンテを作成してからの撮影となっており、短いながらも過去作品の中で一番手の込んだ動画となっております。 動画とセットでお楽しみください!
黒いプラダン、黒い布、べニア板、電球色の蛍光灯、一眼レフ
PCMレコーダーによる走行音の録音
車載動画の撮影。今だったらiPhone使うかな…
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書道?
動画で登場する筆文字も筆ペンで頑張って書きました。松本城、平等院鳳凰堂と、筆で銘を書いて完成としていた私の動画の、一つの恒例行事ですね。もっと上手に書けるように、たまーーーに練習しています。趣味というほどのものではありませんが、字を書くのは結構楽しいです。
道の右はらいが勢い余っているのは癖というか、ついやっちゃった感じですね。いつも右はらいはこうです。書道を習っていれば矯正されていたかもしれませんが、これはこれで自己満足のままの方が楽しいかもしれません。
ダンボールに書いて動画に使おうと思っていたのですが、今回の動画では背景を透過処理して、作品に被せるようにして表示させました。
戦車道!
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技術的なお話
niconicoのブロマガにて紹介している内容ですが、こちらでもご紹介。文字が読みづらくてすみません。画像を拡大表示の上ご覧ください。
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あとがき
ダンボール建築の人と呼ばれて初の建築以外の作品、かつ動く作品でした。ダンボールを噛み合わせて履帯を回す難しさは想像以上で、摩擦と耐久性との闘いでした。うまく作れたあとは履帯はそうそう外れることもなく、イベントや取材などで不調に陥ることもなくサクサクと軽快な動作で走ってくれます。ここまでうまくいくとも思っていませんでした。ダンボールで動くものを作るという一つのチャレンジが完遂でき、感無量といった気持ちです。
また、動く作品ということで、一眼レフでの撮影に限界を感じたのもこの作品でした。一眼レフでも録れることは録れますが、どうしてもピンとが動きに追従しないという欠点があり、私の腕では難しいものがありました。(2014年8月ビデオカメラを購入)
今回のように、1つの作品を作るごとに何らかの技法を獲得したり、腕を上げたり、自分自身の変化を感じられるような活動を今後も続けていけるように、精進したいと思います。